デンカの事業と将来性

もともとデンカは工場裏の山からとれる石灰を活かした製品群からはじまったが、有機、無機、バイオと業種をひろげていき、現在ではセメントから特殊合成ゴム、機能樹脂、ポリマー、プラスチック、電材、肥料、化粧品、医薬品に至るまで、幅広い分野の製品を取り扱う総合化学メーカーとなった。やはり、100年続いている企業のため、化学メーカーとしての評価、実績、技術、ノウハウ等、過去の先人方の経験が活きており、DENKAブランドは化学業界に浸透している。多様な商品を持って様々な事業展開をしているため、ある事業が赤字でも他の事業が黒字となり、全体的には必ず利益を上げているので、リスクヘッジができており比較的安定してる(大儲けはできないが、堅実な利益を上げる)。東証一部上場企業で会社組織は大きく、サッカースタジアム(デンカビッグスワンスタジアム)の命名権等、会社の知名度アップにも努めている。

製品開発において、自分が最先端である、といった展望が苦手で、どうしても2番手に甘んじる傾向にある。革新的な技術があっても、それを活かしトップを狙う、といった戦略はあまり取らない。安定思考の管理職が多く、大きな設備投資にも慎重であり、スピード感がない。そのため、他社に一気に出し抜かれ、旨味を持っていかれることが多々ある。また、大きな製造設備を抱え、原料から各種製品へのフローがあるため、環境の変化への対応余地が少ない。利益が出なくなった事業も、他の事業との兼ね合いでやめられないケースが見られる。多様な事業を手掛けてはいるものの、主力のクロロプレンゴム製品の成長なくして企業としての成長は難しく、国内向け製品(セメント、テープなど)は比較的好調ではあるものの利益額が少なく焼け石に水となっている。

近年では、医薬品分野に力を入れ、他社の買収なども積極的に行っている。インフルエンザワクチンやヒアルロン酸化粧品などの利益は高いので、今後も注力していくと考えられる。ワクチン・検査試薬を手掛ける子会社のデンカ生研の業績が好調なので、医薬品関連はしばらくは安泰だろう。また、新社長に替わってから経営方針として海外展開を強化しており、積極的に海外工場設立などを繰り返しているが、現在の人材でどこまで上手くできるか疑問。反面、数年後までにそれに見合った販売をしなければ経営状況悪化となり得る可能性が高い。

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